機能的な筋力を評価する
機能的な筋力を評価するにあたっては、できるだけ本人の体重を利用した評価法をするのが原則である。
しかしベンチプレスをトレーニングに組み入れてはいけないわけではない。ではあるが評価をする際には、プッシュアップやチンアップをしないと機能的な評価にはならないということだ。実際のトレーニングでは、今まで長く行われており経験的にも効果が確かめられている方法をとり入れてさしつかえはない。
ファンクショナル・トレーニングとは、かっちりと決められた方法があるのではなく、臨機応変にプログラムをとり入れ、最新の知識もどんどん利用するものなのだ。
上半身の評価
1 チンアップ・プルアップの最大回数
左がプルアップ 右がチンアップ
完全に肘が伸びた状態からはじめて、バーの上まであごが来たら一回と数える。肘が完全に伸びていなかったり、あごがバーの上に来ていないときは数えない。
10回が基準。これができたら10キロの重りをぶら下げて何回できるかを数え、10回できるようになったら、さらに重りを増やす。
2 サスペンション・インバーティド・ロウの最大回数
この動作ができない場合、上背部の筋力が不足しているのでそれに向けたプログラムを組むことが必要になる。とくに肩の痛み(腱板損傷)をおこしやすいスポーツ、水泳、テニス、野球、アメフトのクオーターバックなどでは重要だ。
胸がバーに近づき、親指が胸に触れたときに一回と数える。10回できるようになったら5キロのベストをつけて行う。ここで評価するのは筋力であり、持久力ではない。
3 プッシュアップ(腕立て伏せ)の最大回数
からだの大きな選手では、こちらのほうがベンチプレスより正確に筋力を評価できる。胸が床から5センチまで下がった時に一回と数える。
10回できるようになったら5キロのベストをつけて行い、それができるようになれば10キロのベストをつけて行う。
下半身の評価
下半身の評価を安全に行えるテストは少ししかない。
1 リアフット・エレベイティド・スプリット・スクアット
一般的にアスリートが最大5回はできる重りを使って行い、できる回数を数える。
ほかの方法として片足スクアット、スプリットスクアットを行ってもよい。
2 両足での垂直飛び
両手が同時に届く高さと左右どちらかの手だけが届く高さの両方を計測する。
(さあ、このあとはいよいよ実際のプログラムにはいります)