他にすることがなかったためか、昨年はかなり走りました。やりすぎで、しゃがむときにひざの痛みを感じるようになりました。ところがこれからお話しするウォーキング・テクニックでは、痛みなしで歩くことが可能です。体重がかかっているあいだ、ひざがまっすぐに伸びているのがキー・ポイントです。
1 ウォーキングとランニングのちがい
図ではこんな感じ。AとCはウォーキング、Bはランニングです。
Aは練習が必要ですが、一度習得するとなめらかで負担の少ない歩行ができます。実際にはCの歩き方が多いのですが、この歩き方だと効率が悪く、速く歩こうとすると疲れやすいです。
Aでは、着地のとき膝が伸びています。ちょっとむずかしいが理想的なフォーム。
Bでは一瞬、両足が離れていて、これがランニング。
Cでは着地のとき、膝が曲がっています。曲がるほど膝への負担が強くなる歩き方です。
2 ウォーキングの基本
1.両足をそろえてまっすぐ立ちます。
2.片足を床からちょっとだけ浮かし、膝を伸ばしたまま前後にぶらぶらとゆすってみましょう。力を抜いてできるまで練習してください。
3.慣れてきたら、前に足が出たときにかかとからそっと着地します。何回か繰り返してください。
4.反対側の足でも②③をやってください。
5.次に前足と後ろ足をともに床につけたまま、交互に体重を乗せる練習をします。左右いずれも慣れるまで続けましょう。
6.いよいよ次の一歩を踏み出します。前に踏み出した足に体重を乗せたら、後ろ足を前に振り出します。そしてかかとから着地します。
7.着地の瞬間ひざが伸びていることを確認しながら数歩歩いてみます。慣れたら距離を伸ばしていきます。
ひざを伸ばして足を前後に動かします(2)。
3 ウォーキングのこつ
・前こごみにならない…はじめのうち、どうしても足元を確認しようとして前こごみになりがちです。からだをまっすぐに起こし、10メートルくらい先の地面を見るようにしてください。
・力を抜く…とくに肩から余計な力を抜きましょう。肘を直角くらいに曲げたまま、腕を振り子のようにゆすってください。
・足をからだの真下にまとめる…必ずからだの真下、動く方向に沿って着地することを心がけます。両足が一本の線上を通るのが理想ですが、はじめはこだわらないほうがいいでしょう。
・着地の瞬間、上にはねるのではなくかかとを後ろに押し出します。後ろ足を進めるとき、足うらが地面すれすれを通るのを意識してください。
・胸を張りすぎず、前こごみにもならず、一番自然な姿勢でできるだけリラックスして歩きましょう。呼吸が楽にできているかがだいじです。
・ひざは力を入れて伸ばすのではなく、下肢全体をブランコのように前に振って、伸びたところで地面にかかとを置きます。「膝カックン」されたときみたいに、力が抜けている感じです。だから後ろ足が前に進むとき(地面についていない間)の膝は曲がっています。
・いろいろやってみながらスマホで撮影、自分で見てみるとわかりやすいです。
4 ウォーキングの楽しみ
ふつうのウォーキングは時速4キロくらい、この歩き方だと時速5,6キロ以上、その気になれば時速10キロ以上で歩くことができます。だからスポーツのクロストレーニングとしても十分な運動になりますよ。
基本はモデルウォークとほとんど同じ、だから見た目もばっちりです。着地の衝撃が少ないので、足腰の故障を抱えている方や、ケガのリハビリ中の方にもいいでしょう。ただし骨そのものに痛みがあるケース(疲労骨折や骨挫傷など)には無効ですから、痛みがなくなるまで運動は辛抱してください。
説明がいま一つわかりづらかった方は、ユーチューブで「モデルウォーク」「ウォーキング」などの動画をぜひ参照してください。ウォーキングの講習会もあちこちで開かれていますよ。