先日、ジョギング中に胸の痛みを感じました。心臓?と瞬間思ったけれど、痛みの感じからOKだな!とそのまま走りました。このようにどこかが痛くなっても、だいじょうぶなことはざらです。でもほんとうに心配なときもありますから、そのみわけ方がだいじなのです。
1 痛みは警報装置
冷蔵庫の扉を閉め忘れると、ピーピーとなって知らせてくれます。電子レンジに料理を置き忘れても、鍋が空焚きになってもピーピーなって教えてくれるので、ずいぶん安全・便利になりました。痛みも同じです。虫歯になりかかってますよー!とか、うっかり指先を切っちゃたみたい!とか、昨日は飲みすぎちゃったねー!とか教えてくれるので、痛いところをかばったり休養を取って体の調子を元にもどす手助けをしてくれます。
人体には、からだの内側にも外側にも膨大な数の警報装置がついています。痛みのほかに、温冷感、振動、圧迫、虚血、かゆみ、めまい感などたくさんの装置があり、脳にむかって絶えず情報を送っています。脳はスーパーコンピュータみたいなもので、拾い上げた情報を使って(これはキケン!そっちはほっといて良し)(これは医者に行ったほうがいいかも?)といった判断をするわけです。
コンピューターと同様、脳も経験値がものを言います。だから痛みをむやみに怖がらず、ちょっと考えて判断することが必要です。絶えず修正・バージョンアップをしていくことでどんどん役に立つ脳に変わっていくのです。
2 要相談の痛みのみわけかた
ということで、痛みの見分け方をお教えします。思いっきり簡単にしましたから、体が痛くなったら思い出して使ってみてください。
- 自分の感覚で中以上の痛みなら相談 軽度なら様子見OK
- じっとしていても痛みがとぎれず続くなら相談
- 一瞬~数秒の痛みは様子見OK 10分以上連続してつづくなら相談
- 吐き気・めまい・マヒ・発熱‣発疹などほかの症状があったら相談
- きつい痛みだが1回きり 様子見OK
- 生活に困らないくらいの痛み 様子見OK 長引くなら相談
こんなところでしょうか。誰のからだにも故障しやすいところがあるので、こういった判断を続けるうちに(うん?ちょっと痛いけれど、これくらいならもう少し様子を見ても良さそう)といった実際的な判断ができるようになってきます。
3 隠れた主役は「不安」
じつは痛みの陰に隠れていて、本当はボスキャラ(黒幕)なのが「不安」です。冷静に考えればたいしたことのない痛みだとしても、ひょっとしてなにか悪い病気のサインではないか?このまま置いといたら大変なことになるのではないか?というように不安感が頭の中でぐるぐる回っている状態になると、症状以上につらくなってくるのです。
不安の感じやすさには個人差がありますが、いろいろなストレスで脳がお疲れモードに入っているときはとくに不安を感じやすいようです。昨年からのコロナ騒ぎでは誰もがストレスを感じていますから、元気なときなら気にしないくらいのことでも心配になって、相談に訪れる方が少なくないです。
痛みのことが心配になったら、あわてずに痛みの見分けをしてみましょう。ちょっと冷静に状態を分析する時間を作るだけでも不安が和らぐはずです。
4 痛くてものんびり暮らすのは悪いことではない
はじめにお話しした胸の痛みは、結局肋軟骨(肋骨の一部)の痛みでした。年を重ねるといろんなことが起きます。でも数日で収まったから、そのまま運動もやっています。ふだんでもあちこち痛くなるけれど、これもトレーニングの一部と思ってやっています。
きつめの肉体労働を経験している人、若いときにスポーツをやっていた人はおわかりのように、どこも痛くならず故障もせずにやっていくことはムリです。たまに痛くなるのがあたりまえです。だから多少の故障も織り込みつつ、様子を見ながらやるべきことを続けていく。それで治るものは治っていく。こういうおおらかな考え方でいいわけです。これは内臓の痛みでも共通していますから、体は「治せるものは治している」のです。痛みへの過敏な反応は考え物、まずは落ち着き、痛みの見分けをすることです。