微妙な運動感覚の障害を、クレイグさんはどうやって見つけているのでしょうか?本の解説の中から抜き書きにしてみました。1から4が基本で、あとは細々とした考え方の解説です。
力が抜けていない状態は、毎日の診察で極めてよくある状態です。患者さんの足や手を持ち上げて手を離すと、そのまま空中に浮かんだままになる。もちろんご本人は力を抜いているつもりです。患者さんに椅子に座ってもらい、私が両肘を支えて肩の力を抜くように指示しても全く力が抜けない人は多いです。とくにデスク作業が中心でくびや肩の痛みを訴える人には極めて多い状態です。
年配の方に多いのは、膝や肘の曲げ伸ばしの微妙なコントロールができない状態です。それこそスイッチのオン・オフのように曲げる・伸ばすの二択しかできないので、30度、45度、60度のように途中で止めることができません。ためしに皆さんも目をつぶったまま肘や膝を動かして、特定の角度で止められるかやってみてください。上手にできなければDMPの可能性ありです。
- 力を抜いているつもりで抜けていない
- いつでもある部位に力が入ったまま
- 他覚的には力が入っているにもかかわらず、力は抜いていると本人が言う
- 体幹の分節的な運動ができない たとえば腰椎単独の自動屈曲ができないときなど細かい動きができない
- 力が抜けない理由に心の問題が隠れている からだは心と一体である。からだの緊張を意識しないことは、心の緊張を意識しないことと同じ
- 呼吸をするときにくびの筋肉が緊張する(通常の呼吸で)
- 立っているときに反り返っている(重心が後方に寄っている) 伸展反射とも言う。ゴリラが威嚇する動作と同じ。無意識に自分を大きく見せて優位を保とうとする動作。
- これを矯正されると、前屈みになったと感想を述べる 姿勢の目盛りが狂っている状態(とてもよくあるケースです)
- 親と歩き方が似ている 親の動き方をまねる。くせ(DMP※)を受け継ぐ可能性が高い
- 故障が治ったにもかかわらずかばった歩き方が残る
- 無意識でからだをひねって立つ 8と同じで姿勢の目盛りが狂っている。くせのある状態が目盛りの中心(ニュートラル)と誤認している
- これを矯正されるとかえって捻れた感じがすると言う
- 左右非対称の作業・練習をたくさん行う習慣がある 目盛りが狂う理由の一つ
- 姿勢にくせがある 症状がなくてもDMP。小さなきっかけで痛みが出る可能性あり
- 非常にストレスを感じているときに、からだのどこかが緊張することに気がついている これはDMPがあることに本人が気付いている状態なので、回復の一歩目になりえます
- ストレスの原因を知り、解決するかやり過ごすコツを見つければ、からだの緊張が解けることを自覚する 心とからだのつながりを感じる第一歩
- 事故の後、離れたところに痛みが出てきた たとえばむち打ち事故の後、直接影響を受けなかった腰や下肢に痛みが出る。機能障害が続くときに代償動作をする部位に続発的なDMPが生じるとき
- flexion reflex(屈曲反射)が生じるとき 不安や恐怖を絶えず感じるとき。前屈みになりうつむく姿勢
※DMP(dysfunctional movement pattern) 機能障害型動作パターンの略