マッサージというと、みなさんはどういうイメージを持つでしょうか?世間的には慰安的なマッサージやクイックマッサージのイメージが強いのではないでしょうか。実は私もそう思っていて、医者になってからも長い間その思いを払しょくできませんでした。
しかしながら、クリニックでたくさんの患者さんを診つづけているうちに考えが変わってきました。
腰痛や肩こりに限らず、ちょっとした体の痛みの相談のうち、かなりの数が筋肉に原因のある痛みであって、マッサージやストレッチで良くすることができるのを実感したからです。
でもクリニックで治療できる時間は限られますから、やり方を患者さんに覚えてもらって家でやってもらうと大変効果的なのです。
自分でするマッサージをセルフマッサージと呼びますが、力が弱かったり手の関節症があったりでやりづらい人もいます。
そこで指の代わりにマッサージ用の道具を使ってみると便利です。いくつか使い勝手を見ていきましょう。
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これはセラケイン(治療杖)です。アチコチにでっぱりがあってここを痛いところに当ててマッサージします。背中やもも裏などセルフマッサージがしづらいところも、これがあれば簡単にマッサージができます。使い方の説明書がついていて、やってみるとなかなか快適です。
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これはマッサージローラー。背中やもも裏など手の届きにくいところで便利です。体を乗せてゴロゴロ動かします。
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テニスボールを使った手製マッサージ器。左はテニスボール2個を並べて靴下に入れたもの(ここでは筒状包帯で代用)で、寝転がったまま背中のアチコチに置いて痛いところを指圧します。背骨の両側を同時にできるのが便利です。
右はテニスボールをストッキングの先に入れたもの。使い方はこんな感じです。
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壁と背中の間にテニスボールを置き、痛いところに当てます。
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前から見るとこんな感じ。
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ストッキングの取っ手を手で持って高さを調整すれば、上から下までマッサージが簡単にできます。足を使って体全体をゆするようにを動かせば、ボールがゴロゴロ動いて本格的なマッサージができます。
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ネットで手に入れたトリガーポイントマッサージボール。いいお値段ですが、十分の一以下で買えるテニスボールとそれほど違いは感じられませんでした。
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これはゴム?でできたマッサージボール。ネットで千円前後で買えますが、けっこういけます。2個セットで袋もついています。こりの強い人やアスリートはこれがベストかも。私の愛用品です。
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一見すると妙な形のマッサージ棒。杖の持ち手に似ていますが、実際に使ってみるとこの形が便利なのです。
アマゾンなどのネットで1000円弱で買えます。
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こんな感じで使ったり、
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手足の狭い骨の隙間にはヘラ状の部分を使ったり、
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足裏など厚みのある部分にもシッカリと力をかけることができます。
指の関節に負担をかけることなくきちんと押圧をかけることができるのですぐれた道具だと言えます。指の痛い人や女性にもおすすめで、プロのセラピストで手を痛めた人はこのタイプのマッサージ棒を使うことを検討してみてはいかがでしょうか。
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日用品にもマッサージに役立つものがあります。上はスクリュードライバーで、握る部分を痛いところに当てて使います。下は100円ショップで買ったスリコギ。どちらも工夫しながら使いますが、角がやや鋭角で使い方によっては皮膚を痛めるかもしれません。このように家にあるいろいろな道具もマッサージに使えますが、使い方にはややこつがいる印象です。
セルフマッサージのコツはやりすぎないことです。え!?これっぽっちくらいがちょうどいいのです。そのかわりこまめにやることです。その場で効果を期待するのではなく、2、3日たってからちょっといいかな?と思うくらいでいいのです。
そして一番だいじなことを忘れずに。痛みを感じるところと触って痛いところは一緒ではありません。押して痛いところは自分が痛いと思うところよりやや近位(体の中心に近い場所)に見つかることが多いです。そこが痛みの原因部位なのです。マッサージをするときは押して痛いところに行いましょう。