トレーニングプログラムを作る
プログラムの基本
まずはじめに2−3週間の基礎作り期間を作る。これはスプリント(短距離走)からなり、テンポ・ラン(全力の8−9割)と隙間のウォークを組み合わせる。たとえばラン15秒・ウォーク30秒、あるいはラン20秒・ウォーク40秒という具合だ。
これを終えた後に、いよいよ本格的なプログラムに取り組むことになる。だいじなのは、実際の競技に役立つ強さを作り上げることだ。
- 瞬発力(スピードとパワーが必要とされる)を要求されるスポーツか否か
- 頻繁に立ち止まり、駆け出す動作が必要か否か
- 競技時間、ポイント、シフト、セットの時間はどれくらいか
こういったことを分析して、実際のゲームによく似たエネルギーの出力パターン・スタイルを用いるトレーニングを組み立てる。
サッカー・ホッケー・ラクロス・アイスホッケーなどはみなスプリント系のスポーツで、かつ頻回にストップしたりダッシュする競技だから、ストップ・ゴーを繰り返す練習、たとえば100メートル程度のシャトルランを繰り返すのがいいトレーニングになるのだ。
つぎに強さを組み込んでいく。各競技のコーチたちは自分たちの競技独特の強化方法があると思っている人が多いが、実はスポーツに求められる強さの基本は競技内容に関わらずほとんど共通している。トレーニングルームで行われている強化プログラムの八割は競技に関わらず同じなのだ。強さ(筋力)とはすべてのトレーニングの基盤であると認識しよう。ただし両側を同時に使う筋力より、一側性に使う筋力に焦点を当てよう。
筋力強化のプログラムはプッシュ・プル・膝優位のエクササイズ・股関節優位のエクササイズ・体幹のエクササイズからなる。
プログラム・デザインの条件
1 まずベーシック・パターンをきちっと学ぶ
ウェイトを使うエクササイズを行う前に、自重だけで行うエクササイズの基本パターンを行えるようにすることが大事だ。
2 シンプルなものから複雑なものへ
たとえば片足性のエクササイズをする場合、いきなり難しいことをするのではなくて、まずスプリット・スクワットができるようになってからリアフット・エレベイティド・スプリット・スクワットに進むべきだ。
3 漸進性の抵抗を加える。
ある負荷をかけてエクササイズを行うときに、1週目が8回、2週目が十回、3週目が12回連続して行えるようになったら、もう一段階上の負荷をかけて練習する。同じく12回連続できればさらに上の負荷で…というように行っていく。
4 進むか退くかをトレーニング中に判断する。
順調にトレーニングが進めば、負荷を上げ、難易度もあげる。なんらかの理由で現在のトレーニングレベルが維持できないときは、負荷を下げ、難易度を下げる。コーチの役割はトレーニング内容を自分の目で見て、このことを判断することなのである。
トレーニング・ツール
メディシン・ボール
メディシンボールの有用性については、近年評価が大きく高まっている。ただし、安全に取り組むためにはいくつか注意点がある。まず、片手での投球動作は肩を痛めるもとなので行わないほうが良い。また捕球動作も行わないほうがいい。
ウェイト・ベスト
体幹に直接負荷をかけることができる。プッシュアップ、インバーティド・ロウなどで安全に荷重がかけられる。
フォームローラー
筋のストレッチにとても有効である。
バランスボール
少し過大評価されすぎか。バランスボールに座りダンベルやバーベルをする必要はない。ボール上に立つのはリスクが大きい。
スライドボード
もとはスケート選手向けだったが、あらゆる競技で有効。臀筋を鍛えるのに理想的。
ラダー
アジリティ(敏捷性)を鍛えるのに良い。