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ツメからわかる!

(アーカイブ;2003年11月号より)

 

 ツメは皮ふの一部だということは、みなさんおわかりだと思います。ときどき、「ツメがうすくなってきたけれど、これってカルシウム不足のせいかな?」と聞かれることがありますが、カルシウムは関係ないですよ!ツメはケラチンというたんぱく質でできているから、体ぜんたいの新陳代謝のぐあいと関係します。だから、全身に影響のでるような病気があったり、栄養状態がかわったりすれば、ツメの厚さも変わることがあります。

 

 ツメの大きな特徴は、かたいことと半透明なこと。だから、皮ふの下にあって見えないはずの血管の流れも、ツメをとおして見ることができます。これを利用しない手はない!ということで、お医者さんはツメの色を見たり、押して血のめぐりを確かめたりするわけです。

 

 今回は、ふだんはめだたないけれど、けっこうだいじなツメにスポットを当てて、お話してみましょう。

 

1 つめの色からここがわかる!

 

 そう、毛細血管の流れが見える「まど」なんです、ツメは。貧血のある人はツメのピンク色がうすくなります。血液がどろどろしている人(漢方でいうおけつ、ストレスと関係が深い)ではツメの色が暗くなります。ゆびさきをつまんでぱっとはなして、ピンク色がもどってくる時間をみれば、血液の流れるスピードを知ることができます。ツメを押したままじっと見ていると、ピンクの部分と白い部分がゆれているのがわかります。そう、拍動しているんですね。

 

 ツメそのものの色も確認してみましょう。半透明の白っぽい色がふつうです。みかんやにんじんなど、黄色いものをたくさん食べると、ツメも黄色っぽくなります。タバコを持つ指のツメは色がつきますし、塗料やオイルなどが残っていれば、職業が予想できます。一部分が黒っぽくなっているときは?靴がきつめでつま先が圧迫されていると、内出血をくりかえして爪が黒くなることがあります(ブラックネイル)。つけねからさきまでたてに黒線が入る場合は要注意。お医者さんに一度みてもらった方がいいでしょう。

 

2 つめのかたちからここがわかる!

 

 1、2ヵ所だけ、ツメが厚くなっている人はいませんか?たいていの場合、これはミズムシです。ツメの切り口を見ると、ぱさぱさした感じがしてきれいではありません。意外とポピュラーなのですが、ミズムシだと思っていない人が多いようです。厚いうえに黒っぽくなっているときはミズムシのこともあるけれど、カンジダ症のこともあります。どちらもカビという点で共通しています。つめがうすくて平べったくなったり、へこんだりすることがあります。これは貧血のサイン。反対に指先が全体にふくらんでツメも丸まっている人がいます。生まれつきのこともありますが、呼吸器系の病気をかかえている場合も。高齢の人は、病気でなくても、つめが厚くなり曲がってくる人も多いようです。

 

 つめにみぞがある場合はどうでしょう?たてみぞは、つめの生えてくるつけね(爪母といいます)に一時的な故障がおきているだけのことが多いようです。よこみぞは、なにかからだにストレスがあったしるしです。ただしちょっと前のできごとですから、心配ありません。思い返してみれば、肉体的・精神的なストレスの理由があるかもしれません。

 

3 つめのまわりからここがわかる!

 

 ゆびの先っぽからながめてみたら、ツメのはじっこはちゃんと見えていますか?まわりの肉にかくれて見えなくなっていたら、ふかづめのしすぎです。とくに、足のツメは長めにしておいたほうが痛くなりにくいようです。ツメのつけねに比べて先っぽのわん曲のほうが強くなっているときは、靴の中でツメが圧迫されているサインですが、長い間これが続くとツメの下の肉の部分がかたく縮まってしまい、靴に関係なくツメが丸まってしまいます。こうなってしまうとちょっとやっかいなので、ふだんからきつい靴はさけたほうがいいと思います。ツメのヘリの肉が赤くなって痛むときは化膿していることが多いようです。

 

 ツメだけでもいろんなことがわかるでしょ!だから、診察のときはマニキュア・ペディキュアを落としてきてくれたほうがありがたいです。ちっちゃい子が、おかあさんのまねをして何か塗っていることも多いけれど、あれはちょっとかわいいですね。