水びたし

 

 南アフリカ・オリンピック委員会の医学委員でもあるティム・ノークス博士が書いた本。マラソンなどの長距離レースにおけるoverhydration(水中毒)を扱っています。

 

 マラソンというと「脱水に注意!!!」と言われますが、ほんとうにこわいのは水中毒です。脱水予防で過剰に水分を摂りつづけると低浸透圧・低ナトリウム血症となり、初期は嘔気・ふらつきなど軽度の意識障害ですみますが、これを脱水による症状と勘ちがいしてさらに水分を補給すると重篤な意識障害を生じ、処置を誤れば死を招きます。

 

 ノークスは過去のマラソン大会死亡例を詳細に分析して、少なからずの死亡例が水中毒だった可能性があると考えています。対策として「乾く前に飲む」のではなく、「乾いたら飲む」ことを薦めています。

 

 わたしは汗かきなので、マラソン大会に出ると1,2キロぐらい体重が減りますが、それでも何とかなります。

 

 過去のボストンマラソン優勝選手の中にはレース前後で5キロ以上体重が減った人もいたそうです。100キロのウルトラに出たときは3キロ減り、のどがカラカラになりましたがなんとかなりました。

 

 経験上、脱水に対する耐性はトレーニングでかなり鍛えられると思います。リスクを考えるなら「乾いたら飲む」のは正しいのではないでしょうか。