新スポーツのための機能トレーニング
マイケル・ボイル著
機能的トレーニングとは、それぞれのスポーツの特性に見合った効率的で安全なトレーニングのことです。
トレーニング法に完璧な正しい方法が一つだけあって、ほかは全部まちがいだということではありません。ひとりひとりのからだはみんなちがいます。競技の特性だけでなく、手足の長さ、筋力や動き方のくせなどそれぞれの特徴に合わせてトレーニングプログラムを組み立てていくことが必要です。
しかし、ここが基本、ここはしっかりと取り組まなければいけないポイントがあります。この本の中身を要約しながら、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
それでは次の質問に答えてみましょう。
Q1 すわっているだけでいいスポーツはありますか?
A1 いいえありません。
機能的なトレーニングは立位で行うことが基本になります。
Q2 からだが完璧に固定されて、固まったままでできるスポーツはありますか?
A2 いいえ、ありません。
からだが固定された状態で行われるトレーニング(マシン・トレーニング)は機能的トレーニングではありません。
Q3 スポーツの動きのうち、一か所の関節だけの動きはありますか?
A3 ありません。かならず数か所の関節が動きます。
機能的トレーニングとは複数の関節を同時に使うトレーニング法です。
少しはっきりしてきました。それなら今までやってきたことと同じじゃないかと言われることがあるのですが、「ほんとうに、今までやってきたことすべてが正しいのですか?」と一度考えてほしいのです。
ではどのようなトレーニングか
機能的トレーニングは、特定のスポーツのパフォーマンスを上げるために行うものであって、別のスポーツそのものをとり入れるのはクロストレーニングです。
筋力強化、スピード向上やパワーの増大を計るのは、特定のスポーツのパフォーマンスを上げ、けがを防ぐのが目的で、別の競技を上手に行うためではありません。陸上やパワーリフティングの知識を競技力向上のためにうまく活用するわけです。
自分自身の体重を上手に使うことを覚えます。自重を使ったトレーニングが中心となります。
バランスと固有感覚の訓練のために左右非対称の動き、たとえば片足立ちでの動きを行います。
スクアット、前屈、ランジ、押し引きをすることで自重をうまく使うことを覚えます。
鍛えるのは単純な筋力ではなく動きです。押しと引きのバランス、膝優位の股伸展(四頭筋、殿筋)と股優位の股伸展(ハムストリング、殿筋)のバランスを重視します。