young at heart(若きこころで)

 ボストンマラソンのレジェンド、ジョニー・ケリーの物語です。1907年生まれで2004年に97歳で亡くなるまで、ボストンマラソンを61回!も走り、優勝2回、準優勝7回、最後のマラソン完走は84歳の時でした。

 

 幾多の名勝負をくり広げ、なかでも1936年にくり広げられた抜きつ抜かれつの激走で、heart break hill(心臓破りの坂)は有名になりました。優勝したブラウン選手も最後はよろけるようにしてゴール、5位に入ったケリーはそのまま更衣室に運ばれていきました。

 

 この本を読んで驚いたのは、当時のマラソン大会では優勝しても優勝メダルと賞品(電気製品など)をもらうだけで、金銭的なメリットはぜんぜんなかったようです。まあちょっと前までの日本でも同じだったのですが、そのかわり実業団に入り、走ることを専業にはできています。

 

 ケリーさんはまったくふつうのお仕事を続けながら走る、今でいう市民ランナーで、メーカーのスポンサーも付かずにこれだけの活躍をしたのだから凄い選手です。

 

 小柄で、陽気で、高ぶらず、人に愛されました。ボストンマラソンを走らなくなってからも、早起きして奥さんのために朝ごはんの準備をして、近所の森にジョギングに出かけていたそうです。

 

 レベルはまったく違いますが、多くの市民ランナーにとって一つの目標になるような方だと思います。 

 

ケリー、60回目のゴールテープを切る瞬間。