必要な装備
競歩の特長の一つに、大して必要なものはないというのがある。あなたが健康のためにやっていようと、全国レベルで競っていようと、最新のハイテク装備を買う必要はない。適切なシューズさえあればいい。これば何か新しいものを買うのが楽しみな人〜ゴルフ用に大きなチタン製ドライバー、自転車に最新式のカーボンフレームを買うような人〜をがっかりさせるかもしれない。
びっくりしたのはランニング・ジョギング・散歩用のシューズは競歩向きに作られていないということだ。多くのランニングシューズはかかとを厚くすることで地面からの衝撃を受けとめるように作られている。けれども競歩はなめらかな動きであって衝撃は少ない。関節を守るための厚いクッションは無用だ。それどころか厚いヒールは適切なフォームを維持するためにむしろ有害である。
なかには競歩用に作られたシューズを入手した人がいるかもしれないが、多くはないだろう。選手のなかにはレーシングフラットというクッションの少ないランニングシューズを使う人がいる。わたしのサイズ１５（３３センチ）では極めて選択が限られる。ランニング専門店で靴を見て、サイズがあるなかで一番ヒールの低いやつを注文するしかない。前半分に柔軟性がある靴がいい。足で体を前に押し出す際にここの柔軟性が必要になるのだ。
どんな運動靴でも言えることだがしっかりしたアーチサポートがあるべきだ。わたしの場合特注のインソールを競歩だけでなく日常的に使用している。
もうひとつだいじなのがしっかりしたヒールサポートとつま先に余裕があることだ。そして朝方でなく夕方に店に行くこと。足は1日の後半に少しはれてくるからだ。
競歩のウェブサイトにはだいたい靴に関係したコーナーが見つかるはずだ。というのは選手たちにとってかなりの関心事だから。ひとつには他に語るべき装備がないということと、メーカーがしょっちゅうモデルを廃番にしたりデザインを変更したりするからだ。もしわれわれがいっせいに競歩を始めたならば、すぐにメーカーは競歩用のシューズを販売するだろう。
どうしてもいい靴が見つからず懐に若干の余裕がある場合はハーシー・オーダー靴専門店(www.herseycustomshoe.com)で競歩用のシューズを購入できる。ここの靴はオリンピック出場選手も使っている。値段は高く、数カ月分のバックオーダーをかかえているが。
レースに出るならば、審判に膝がまっすぐかどうかわかるようにショーツを買わなければならない。わたしは練習用に膝上まで来るタイプを使っているが、これは競技向きではない。だからタンスの引き出しを掻き回して短いやつを探さなければいけなかった。
寒いときには足全体をおおうタイツが許可される場合もあるが、その場合はぴったりと密着するタイプにして、審判が膝の状態をきちんと判断できるようにしなければならない。スウェットパンツやゆるめのショーツは問題がある。もちろん練習のときならどんな格好でも良い。
涼しい日は帽子をかぶり、グローブをはめる。寒い日は耳を覆えるものを使っている。最近の吸湿速乾素材は寒い日に暖かく、暑い日には涼しくしてくれる働きがある。
他に使っているものとしては心拍計がある。胸に巻きつけるバンドと時計式の本体からできている。シンプルな５０００円くらいのを買った。これを使うと今自分がどれくらい頑張っているかがよくわかる。心拍計がなくてもなんら困らないが、トレーニングにはかなり役立つことがわかった。「年ごとに若く」に書かれている運動レベルに達しているかを知る助けにもなっている。
これで装備は終わりだ。たぶんあなたは新しく何かを買うことなく競歩を始められるのではないだろうか。（続く）